日本の昔話、おとぎ話、民話

雪女4 お雪の正体

雪の夜に

それから何年かが過ぎた、ある雪の夜。
針仕事をしているお雪の横顔を見ていると、おの吉は、茂作が死んだ、あの夜のことを思い出しました。

「わしはのう、お雪。以前、お前と同じくらい美しい女を見たことがある。あれは、今夜と同じ、寒い雪の夜、こうして、囲炉裏のそばで寝ていたときのことじゃ。」
と、雪女のことを、お雪に話してきかせました。

すると、おゆきは、悲しそうに涙をすすりはじめて、
「お前さん、ずっと仲良く暮らしていけると思っていたのに、ついに約束を破ってしまったのですね。あれほど、私のことを人に話してはいけないといったのに。」
「な、なにをいっているんだ、お雪?」
と、おの吉が驚いて問い返す間に、お雪の姿は、みるみるうちに、あの日の雪女の姿へとかわっていきました。

「雪女の掟(おきて)で、姿を見られた人間は凍え死なせなければならない。でも、私にはお前さんを殺せない。お前さんのことを本当に愛しているから。子供を、愛しい子供をお願いします。」

そう言い残すと、雪女は戸を開き、吹雪の中へと姿を消してしまいました。

               ー おしまい ー


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