日本の昔話、おとぎ話、民話

雪女3 村雨(むらさめ)の降る日に

村雨(むらさめ)の降る日に

冬が終わり、春が過ぎ、夏のはじめのある日。
夕方、村雨(むらさめ)が降り出すと、一人の若い女が走ってきて、おの吉の家の軒(のき)で、雨宿りをはじめました。

おの吉は娘の困った様子を見て、入口から顔を出し、
「雨でお困りなんじゃろ。よかったら家に上がりなさい。」
といい、女を家にあげてやりました。
女は、お雪という名で、美しく、とても気立てのいい娘でした。
話を聞けば、お雪は最近両親を病気でなくし、これから遠い地方の親戚(しんせき)を頼っていく旅の途中なのだといいます。
気のいいおの吉は、うちも父親が死んでしまって、今は寂しい一人暮らしだから、よかったらしばらく家にいてくれると助かるといいました。

おの吉とお雪は、しばらく一緒に暮らすうちに夫婦になり、子供もできました。
けれど、ちょっと心配なのは、お雪は、夏の暑い日に外にいると、どうも疲れてフラフラしてしまうのです。
そんなとき、おの吉は、
「よいよい、家に帰って、ゆっくり休んでおれ。」
と、お雪をしっかり助けて、仲良く暮らしました。


村雨(むらさめ):降りだしても、すぐにやむ雨。通り雨


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