日本の昔話、おとぎ話、民話

雪女2 雪女

雪女

夜中、おの吉は寒さで目を覚ましました。
見ると、囲炉裏の火は消えていて、そこに誰かが立っています。
「誰じゃ、そこにおるのは?」
目をこらして見てみると、そこに立っているのは、若い女でした。
肌も髪の毛も雪のように真っ白。とても生きた人間には見えません。

おの吉は、以前、茂作から聞いた、雪女という恐ろしい妖怪のことを思い出しました。
雪女は、吹雪の夜に現れ、冷たい氷の息を吹きかけて、生きるものすべてを殺してしまうといいます。

「ゆ、雪女!」
雪女は、おの吉の見ている前で、ぐっすり眠っている茂作に近づくと、口から白い息をフッと吐きかけました。
みるみる茂作の体は白くなり、こおってしまいました。
おそらく、もう生きてはいないでしょう。

おの吉は、今度は自分が殺されると思い、
「た、た、助けてくれ!」
と叫びながら、後ろの壁際(かべぎわ)へと逃げます。
雪女は、おの吉のほうへ、ゆっくりと近づいてきて、おの吉の顎(あご)に指を触れました。
その恐ろしく冷たい感触(かんしょく)は、生きている限り忘れることはないでしょう。
雪女は、笑みを浮かべながら、
「お前は、まだ若く美しい。望みどおり助けてやろう。そのかわり、私のことは誰にも話してはならぬ。話せば、次はお前の命をもらうことになる。」
というと、そのまま吹雪の中に姿を消しました。


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