
笠地蔵3 大雪になって
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家への道を急いでいると、そのうちに風が冷たくなり、やがて雪が降り始めました。
峠にさしかかる頃には、もう、ずいぶんと大雪になっていました。
ふと、道のわきを見ると、朝、手を合わせた六人のお地蔵さんが、頭から雪をかぶって、まるでこごえているようです。
「おお、おお、お気の毒に。この売れなかった笠を、お地蔵様に差し上げよう。」
やさしいおじいさんは、お地蔵さん一人一人に、丁寧に笠をかぶせていきました。
五人目のお地蔵さんに笠をかぶせおわったときに、お地蔵さんがもう一人いることに気づきました。
「そうだ、わしの笠は5つしかないんじゃった。はて、どうしたものか。」
おじいさんは、ちょっとの間、思案(しあん)したあと、ポンと手をたたいて、自分がかぶっていた手ぬぐいをはずして、六人目のお地蔵さんにかぶせてあげました。
おじいさんは、きっとおばあさんが、残念な顔をするだろうと思いながら家に帰りましたが、今日の出来事を話すと、
「それはそれは、いいことをしました。笠がお地蔵様の役に立ったのなら、いいではありませんか。」
と、嫌な顔ひとつしませんでした。
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