日本の昔話、おとぎ話、民話

狐の嫁入り2 雨乞いの生け贄(いけにえ)

雨乞いの生け贄(いけにえ)

雨乞いは、村の外れにある池で、龍神(りゅうじん)様に、雨を降らせてもらうようにお祈りをします。
でも、龍神様は生け贄(いけにえ)をささげなければ、雨を降らせてはくれません。
大昔からの決まりで、雨乞いの生け贄には、年の頃15歳くらいまでの人間の少女を差し出すことになっていますが、村人たちは誰も自分の娘を生け贄に差しだしたいとは思いません。

はてさてどうしたものかと、みんなして首をひねって思案していましたが、村でいちばん頓智(とんち)がきく五郎兵衛(ごろべい)が、
「人間に化けた狐(きつね)さ、龍神様に差し出せばいいんでないべか。」
といったので、ほかの者たちが、
「どうやって、狐さ、人間に化けさせる?」
とききかえします。すると、五郎兵衛は、
「そうさなあ。そうだ、狐の娘っ子を竹蔵(たけぞう)のところに嫁にこさせるっていうのはどうだ?」
といいました。

竹蔵は村で一番の働き者。狐をだまして、人間に化けた狐を竹蔵のところに嫁入りさせて、生け贄にしてしまおうというわけです。
これは良い考えだとみんな感心し、さっそく計画を進めようということになりました。


生け贄(いけにえ):神様に願い事をかなえてもらうかわりに、生きた人や動物をささげること


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